今読んでおきたい!考える力が身に付く6冊【ミニコラム】

最近どんな本を読みましたか?読んでいる本のジャンルが偏っていませんか? 普段なかなか手を出さないジャンルの本を読んでみることで、今までとは違った世界や、ものの考え方が身に付きます。高校生のうちに見聞を広げておくという意味でも、様々なジャンルの本を読んでみるようにしましょう。今回は、考える力が身につくおすすめの本をご紹介します。

ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」

ミステリー好きにぜひおすすめしたい、論理的思考の面白さがわかる小説です。いわゆる"安楽椅子(アームチェア)探偵もの"と言われるジャンルの、8編からなる短編集なのでさらっと読めます。が、その論理的な導きの華麗さに、何度ページをめくり返したことか。少ない情報の中から、論理的に犯人を導き出す手法は鮮やかとしか言いようがありません。果たしてあなたは、一番最後の主人公の"笑いの意味"が分かるでしょうか?

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

ロシア語通訳者であり、作家でもある米原万里のエッセイ。 小学生の時に父の仕事の関係で、チェコスロバキアの首都プラハに一家で渡った彼女。その後日本に帰国しますが、東欧の共産主義政権の没落やベルリンの壁崩壊、さらにはソ連の崩壊を、通訳という職業を通じて肌で感じ、プラハ時代に親しかったギリシア人、ルーマニア人、ボスニア人の友人たちを捜し歩き、消息を確かめた記録です。序盤は少女たちの明るくて愉快な日常が手に取るように描かれ、また後半の大人目線のパートもまるで一緒に冒険しているようなハラハラ感があります。読みやすい文章で、当時の政治的・歴史的背景を知らなくても十分楽しめるエッセイですが、もっともっとと知っていくうちに更に深く楽しめると思います。

棚橋弘至「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」

今や新日本プロレスの看板プロレスラーとなった、「プ女子(=プロレス好き女子)」に大人気の棚橋弘至によるエッセイ。かつてプロレスは日本のお茶の間の一大娯楽であり、アントニオ猪木をはじめ様々な人気レスラーを輩出したのが新日本プロレスでした。それが時が経つにつれ、組織が細分化し、目玉選手がいなくなり、徐々にアングラと化し「プロレス?あの血がいっぱい出て痛そうなやつでしょ?」ぐらいの認識になり、どんどん表舞台、すなわち「人気」から遠のいていきました。その新日本プロレスを、大阪城ホールを立見席まで超満員にし、チケットが入手困難となるまでに引き上げたのはひとえに彼の努力のたまものと言えます。彼は、新日を、プロレス業界を変えるためにどんなことをしたのか?沢山の逆境の中、ただやみくもに自分のすべき道を信じて疑わず、前向きに歩み続ける棚橋弘至の姿勢には心を打たれます。プロレスに興味のない方にも、ビジネス書の入門としてもおすすめの一冊です。

三浦綾子「愛すること信ずること」

小説「氷点」「塩狩峠」で有名な三浦綾子ですが、エッセイも書いています。これは「夫婦の愛」をテーマにしたもの。三浦綾子の夫の出会い、そして生活が描かれています。小説からはあまり想像のできないユーモラスな語り口に、時に笑顔になったり、背筋をしゃんとさせられたり。いつまでも相手への敬意を持ち続ける、ふたりの関係性がとても美しく、そしていとおしく感じられます。「夫婦」とは。そして「愛すること」とは。人生の節目に、何度でも読み返したくなります。

喜多川泰「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」

こちらは、喜多川泰さんの本であり、映画にもなっています。高校生の主人公が旅をしながら「生きる上で本当に大切なこととは何か」を周りから教わっていく物語です。学校で自分の友だちが表彰されたり、ほめられたりしているのを見て、嬉しいのに素直に喜べない、そんな学生ならではの葛藤がどうしておこるのか、教えてくれます。

岸見 一郎 古賀 史健「嫌われる勇気。自己啓発の源流「アドラー」の教え」

哲学者と青年の対話形式で話は進みます。その哲学者は、感情や過去の出来事は全く関係がなくわれわれはただ目的に沿って生きている、と言います。また、自分の人生を他人任せにしてはいけない、ということも教えてくれます。少し難しい内容かもしれませんが、一度時間をかけて、じっくりと読んでみてはいかがでしょうか。悩みを抱えた時に役立つ考え方を教えてくれますよ。

高校時代に考えたことが人生を決める

高校時代は勉強ももちろん大切ですが、今後どう生きるかを決める重要な時期でもあります。「どう生きるか」というのは、職業の選択にのみ限られることではありません。自分にとっての幸せとは何か、どんな人間になっていきたいかなどを考えることも大切です。たくさんの本を読んで、大きく成長していきましょう。