地球が危ない!自然の豊かさがこの40年で半減【映画で学ぶ!世界の今】

様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。

第10回 地球が危ない!自然の豊かさは5割減

世界約100カ国で活動している環境保全団体WWFが、現在の地球環境がどうなっているのかを知らせるために『Living Planet Report:生きている地球レポート』を発表しています。このレポートは地球の生物多様性を示す「生きている地球指数(LPI:Living Planet Index)」を指標として設けていますが、2014年のレポートで、「生きている地球指数」が1970年から2010年の40年間で52%も低下したと報告しました(※1)。つまり、平均的日本人の半生ぐらいの時間で、自然の豊かさが半減してしまったのです。

※1 2014年9月30日「40年で自然の豊かさは半分に 『生きている地球レポート』2014発表」WWFジャパン

人類が今の生活を維持するには地球1.5個が必要

なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか?先に紹介したレポートで、私たちが今の暮らしを維持するには1.5個分の地球が必要で、生態学的に赤字だと指摘しています。これは、私たちが木の成長するスピード以上に木を伐採し、地下水を再び水資源として蓄えられる以上のスピードで組み上げ、CO2を自然が吸収する以上のスピードで排出していることを意味します。私たちが選んだ暮らし方が、このように私たちの唯一の棲み家である地球を傷つけているのです。自然資源を使い尽くしてしまうライフスタイルを見直し、「持続可能な社会」を実現し、消費活動を地球1個分の範囲に収めなければ長期的に人類が生存し続けることはできません。

ファストファッションも環境を汚染し人を傷つける原因に

(c)TRUECOSTMOVIE

衣類を例にとってみましょう。私たちが身につける衣類はここ数十年の間に著しく価格が低下し、「ファストフード」と同じように早く安く提供される「ファストファッション」といわれるようになりました。安く手に入るようになった結果、簡単に捨てられるようにもなりました。日本では年間消費250万トンのうち、200万トンが捨てられてしまっているそうです(※2)。

※2 2010年5月18日「衣類のリサイクル率、知っていますか?」EICネット『エコナビ』

このように衣類が安価に供給される一方で、簡単に捨てられてしまう無駄が発生しています。しかし、資源が無駄になっているだけでなく、衣類の生産の裏側では大きな代償が払われていることも近年明らかになりました。

「血塗られた服」は着て欲しくない 生産者の痛切な訴え

2013年4月に、バングラデシュの首都ダッカにある衣類を生産する8階建ての縫製工場ビルが倒壊し、1

私たちが安く衣類を入手できる反面、このような犠牲が払われている現実もあるのです。この事故がきっかけでファストファッションの裏側を探った映画が完成しました。映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』です。

映画に出てくる衣類を生産する労働者で一児の母のシーマは早起きして工場に行き、朝から晩まで低賃金できつい労働をこなし、"安い"服を生産しています。彼女は自分の子どもに年に1~2回しか会えません。そんな彼女がこう訴えています。

「私たちの血で作ったものを誰にも着て欲しありません」

誰もが買い、身につける衣類の生産の現場には、彼女のように苦しんでいる労働者が存在します。誰がどのように作ったものなのかを知った上で購入し、買ったものに愛着を持ち簡単に捨てないようにする。そんな私たちの行動の積み重ねが、「持続可能な社会」実現のための第一歩ではないでしょうか。

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